君は無垢なフリをして​───本当は野獣。
「かーなーちゃんっ。怖い顔になってるよーぅ。」





むにっ。

綾香が私の頬を掴む。

私の目の前に座っていた綾香が振り返り、私を見上げ笑っていた。





「あ、ごめん、綾香。…チケットの配置、変えとけばよかったね。」

「どーしてぇ?」

「嫌、だっておかしいでしょ。連れが離れて座ってるんだよ?」





言うと、綾香はニコッと笑う。






「私は気にしないよぅ、花菜ちゃん。あ、それより…」





そしてまたニコッと笑うと私の耳元に顔を近づけ、囁いた。






「花菜ちゃんが中野くんの隣に座った時、花菜ちゃんの気持ち解かっちゃった。私、応援してるねっ。」

「な…っ」

「しぃーっ、花菜ちゃん。あ、架琉くんが出てきたぁ!」






無邪気に笑う綾香は、八神 架琉が登場すると同時に正面へと向いてしまった。
< 142 / 385 >

この作品をシェア

pagetop