君は無垢なフリをして​───本当は野獣。
何もかもを見透かされているようで、悔しくて。


中野 神弥の手を薙ぎ払う。




「…映ちゃんのとこに戻らないの。」


「何で戻んなきゃなんねーの?」


「楽しそうに話してたじゃん。」


「花菜が拗ねてんのが可愛くて仕方なかったからだよ。」


「は?」


「俺が日野本サンと話してるとむくれて可愛いから。花菜が妬いてるんだと思うと嬉しくて。」






じゃあ、私の反応を見て楽しんでたってこと?






「あんた、あほでしょ!」





苛立ちに任せて言うと、立ち見をしている人の間をすり抜けて進む。





「ちょ、花菜?!」





近くで聞こえていた中野 神弥の声が離れてく。


人が多いために中野 神弥はすぐに見えなくなった。


妬いてる私が可愛いと。


妬いてることが嬉しいと。


そう言ってくれる中野 神弥。


けど、





「映ちゃんと楽しそうに話しちゃって…寂しかったんだから。」
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