君は無垢なフリをして​───本当は野獣。
「…花菜は返してもらう。」


立ち去ろうと背を向けた神弥に言う。


振り返れば、神弥を睨み付ける拓海と視線がぶつかる。



「花菜を返してもらう…?何言ってんだ。花菜は俺のだ」
「じゃあ、花菜はお前に好きだと言ったのか。」


「あ?」


「お前を好きだと、あいつは言ったのかよ。」


「……っ」



何でこんな糞蛇野郎の言葉に動揺してんだよ、俺…



「やっぱりな。…あいつは余程追い詰められねーと言わない筈だ。」


「言われてねーとは」
「沈黙は合意だ。…なら花菜の気持ちはまだ分かんねぇな。」



拓海は余裕の笑みを浮かべる。



「ま、精々気を付けるんだな。」


「……。」



さも勝ち誇ったような笑みを浮かべ、踵を返し去っていく。


残された神弥は、花菜たちの元へと歩みを進めた――…。



「花菜…俺よりもあいつが好きなのか…?」
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