君は無垢なフリをして​───本当は野獣。
「…かよ。」


「え?」


「花菜はアイツが好きなのかよ?」



アイツ…?


って拓海…?



「花菜は俺を好きだと思ってた…」



中野 神弥はグッと私の肩を握り、唇を噛む。


項垂れる中野 神弥に、言ってしまおうかという気になる。


だけど、やっぱり恥ずかしくて。


中野 神弥が私の言葉を待っていることは見て分かるのに、素直じゃない口は、なかなか開かない。



「……沈黙は合意、か。」



フッと嘲笑う。


見上げれば、泣きそうな顔。



「悪ぃ。もう、忘れて。花菜は…俺じゃないヤツが好きなんだな。」



そう言って体を離し、私に背を向ける。



「……。」



ゆっくりとした足取りで去っていく。


そんな中野 神弥に、私は嫌われたのでは?という焦燥感に襲われた。



「ぁ…」
< 161 / 385 >

この作品をシェア

pagetop