君は無垢なフリをして​───本当は野獣。
どうして、あんな最低なヤツが崇められるのか。


私には理解が出来ない。



「あ、あのね、花菜ちゃ――…」










―――「花菜!」











……何で。


どうして…あの頃みたいな呼び方をするの。


姿が見えなくても声で分かってしまう自分が恨めしい。



「あ…」



綾香は振り返り、絶句。


綾香……普通は振り返らなくても気づくでしょ。


従妹の鈍さに若干笑いそうになりながら、近づいてくる気配にそんな雰囲気ではないことを悟る。



「なぁ、あんた。少し…外してくんねぇ?」



綾香に向けて言葉を放つ。

綾香は怯えた表情を見せると私に目配せをして、私が頷くと同時に走り去る。



「……今更何の用事?」



振り返り、相手を睨む。



「そんな怖い顔すんなよ、花菜。」



フッと、あの頃好きだった笑顔で笑う。



「拓海…あんた見てると虫酸が走るよ。」
< 220 / 385 >

この作品をシェア

pagetop