君は無垢なフリをして​───本当は野獣。

―*―*―*―*―*―*―


「ただいまー。」



私よりも先に帰っているはずの神弥に声をかけるも、返事が返ってくることはなく。


部屋にも廊下にも…灯りが灯らない。



「神弥…?」



呼び掛けながら、各々の部屋を見る。


が、どこにも姿は見受けられず。



「どこに居るのかなぁ…」



溜め息を吐きながら…窓に視線を向ければ、雨。



「神弥…まさかまだ帰ってないの…?」



ガタガタと風で揺れる窓。

ザアザアと耳障りな雨音。


「神弥……」



早く帰ってきてくれないと、寂しいよ…――



――「花…菜…っ」



パタンと扉の閉まる音と共に聞こえた声。


急いで玄関に向かえば、全身びしょ濡れな神弥が佇んでいた。
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