君は無垢なフリをして​───本当は野獣。
そう…言われたのは、神弥に抱かれた翌日で。


好きだと。


大切だと…言ってくれた翌日だった。



「え…?」


「私も…本意ではないよ。だが…神弥が、孫が…貴女とは暮らせないと、そう私に言ってきていてね?

どんな理由があるのか私には分かりかねるのだが…快諾しては貰えないだろうか。」



申し訳なさそうに言う理事長に、言葉を失う。


私とは暮らせない?


そう…神弥が言ったの?

でも、どうして?


何でこんな急に…



「もちろん、埋め合わせはきちんとさせて頂く。取り敢えず、今日中に荷物を纏めておくよう。」



では。


そう言って控え室に入る鬼塚理事長。


だけど私は動くことが出来なくて。


ただただ、控え室に消えていく理事長の背中を見ていることしか出来なかった。
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