君は無垢なフリをして​───本当は野獣。
――「あら?花菜ちゃん、今からお家?」



大学からの帰り道、ばったりと道で出会ったのは、神弥のお母さん。


確か…結芽さん。


綺麗な笑みを浮かべて、私の方へと歩み寄る。



「最近、神弥とは順調?」



まだ何も知らない少女のように無垢な笑顔。


こんな笑顔見ちゃったら、

今まさに追い出されてます、

だなんて言えないよ。



「あ…はい!順調も順調ですよ!」



そう言って笑ったけど、上手く笑えてたかな。


顔ひきつってたかも…



「ねぇ、花菜ちゃん。何でも私たちに相談してね?」

「え?」


「貴女たち…まるで昔の私たちみたいだから。…一人で抱え込んではダメよ。」


突然見せた、哀愁漂う微笑み。


昔の私たちみたいな…って何?
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