君は無垢なフリをして​───本当は野獣。
「やっぱり…図々しいですよね。この中じゃ先輩しか食べれないものなのに…」


しゅん、っと俯きがちなその姿。

それだけでも様になっているのが腹立たしい。


…何さ、その見事な王子っぷり。


いかにも僕は遠慮してますみたいな雰囲気を醸し出しやがって。


目で「早く行けよ、下僕。」って語ってるくせに!



「図々しくはないと思うよ?花菜ちゃん、こう見えて世話好きなんだよ!こうやって頼ってくれるの嬉しいはずだよ!」



綾香…


君は何を言っているんだい…


あーぁ、結局私はこいつにいいように動かされるのか…



「仕方ないなぁ。あんたに譲ってあげるよ。」



そう言うと、私は即座に席を立つ。



「ハァ…」



私の貴重なランチタイムが…


避けようにも向こうがいつの間にか来てるし。


私、あいつと離れられる時間が講義の時だけしかないや。


何か…複雑。



「――おばちゃん、Sセットください!」


「あら、あんた!また?好きだねぇ、これ。はいよ、Sセット。」


スペシャルセット――――通称Sセット。


入学から1年経たないと食べれないだけあって豪華だし美味しいからよく食べるんだけど…


本来必要な学生証確認しなくても用意して貰えるようになった私って…。
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