君は無垢なフリをして​───本当は野獣。
「んだよ、それ…」



ハァ、と呆れたような溜め息。



「何だよって…そのまんまよ。今までどんな女の子と付き合ってたのか知らないけど…私とその子達と一緒にしないで。」



睨み付けると、少しだけ掴む力が弛んだ。



「私は順序を大事にしたいの。好きなら即ヤるなんて、猿と同じだわ。」


「さ、猿…」


「だから、放して!」



私の言葉がよほどショックだったのか、中野 神弥はあっさりと掴んでいた手を放した。


その隙に私は自室へと全力疾走。


バタンとわざと大きな音をたてて扉を閉めた。



「さっき中野 神弥は何だったの…?」



まだ心臓がバクバクいってる…



「落ち着きなさいよ、私…」



もう二度と同じ過ちは犯さないって…


あの日…


(みずか)らに誓ったでしょう…?
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