君は無垢なフリをして​───本当は野獣。
「花菜には…離れていって欲しくない。」



今にも泣きそうな声色。


少し中野 神弥の体から離れて、中野 神弥を見る。


と、しっかりと中野 神弥の視線とぶつかった。



「花菜…」



中野 神弥の右手が伸びてきて、私の横髪を耳にかけた。


そして右手はそのまま、私の後頭部に回される。



「ちょ…」


「ジッとしてろよ…」



中野 神弥は右手にグッと力を入れると、私を自身の腕で包み込むように抱き寄せた。



「こんなにちいせぇのに…あんたは大きいな。」



ちいせぇ?


これでも私、163センチはあるのですが。


大きい?


それは胸のことか!



「…好きだ。もう、隠さねぇ。」


「……っ、」



好きじゃないって言ったり、好きだって言ったり。


私…


中野 神弥が分からないよ。

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