君は無垢なフリをして​───本当は野獣。
「…放して。」


「花菜…?」



私の顔を覗き込む中野 神弥。



「顔、赤い。」


「…煩い。」



くははっ、と笑う。



「何笑ってんの。」


「いや?可愛いなって。」


「か…っ」



中野 神弥がその綺麗な顔で、子どもみたいにハニカンで笑うから。


だから、不本意にもキュンとした――…。



「【な、な、何やってんだよ!】」


「…っ、崇大!」


「【てめぇ、花菜を膝の上に座らせるとか、やることがエロいんだよ!この誑し!】」


「うるせぇ。黙れよ、シスコン。だいたい膝の上に座ってるだけで変なことを想像するお前がエロいんじゃねぇの。」


「【……。】」



崇大…


中野 神弥に圧倒されてるよ…



「お前が泣こうが喚こうが、花菜は俺のなんで。連れて帰りますー。」
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