はんたいことばの愛のうたー天性の弱虫ー
私は"好き"と相手に言うのが苦手だった。

だってもしも、

私しか好きじゃなかったら...

恥をかいてしまうと思ってた。

でも思いを伝えなかった事で

すれ違いを起こしてしまっていたんだ。

「でも、私はきちんと君が好きだったよ」

私は勇気を振り絞りそう伝えた。

『そんな事言ったってもう遅いよ、』

え...もう遅いって......もしかして、

ずっと気になっていた事を聞いた。

「あの時彼女が出来たって噂があったけど本当だったの?」

そういうと君は俯いた。

『俺を好きだって言ってくれた人はいたよ、でも断った』

そうだったんだ...

彼女は出来た訳ではなかったんだ。  

「でもどうして告白を断ったの?」

私は疑問が収まらなかった。

『それは...別れてからも...』

そう言いかけて君は止まった。

すると、君の名前を呼びながら走ってきた

可愛らしい女の人がいた。  

彼女は君と腕を組み、私を見た。

〈この人誰?〉

そう言った彼女の目は怖かった。

君はただ私に

『ごめん』

そう伝えてどこかへ行ってしまった。  

今の女の人は誰...

もしかして彼女...?でもいないって...

私の頭は混乱した。

それと同時に
 
素直になれなかった昔の自分が

とても嫌になった。

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