ずっと一緒に 〜後輩男子の奮闘記〜
夏休み明けに出社すると、まだ人は少なかった。
ウチのチームは、小田島さんと久保田君が出社している。
「小田島さん、お土産です」
「おーさんきゅー。ケンさん元気だったか?」
「それはもう。ずーっと一緒にいてくれて、癒されてきました」
「あっついだろ、夏は」
「ケンさんも暑いから、くっついては来ないです。でも、隣にいてくれるので」
「ふーん。誰かさんみたいだな、ずっと隣にいるって」
小田島さんがニヤニヤして言う。
からかわれるのは未だに慣れない。なんて答えたらいいかわからないので、そのまま久保田君に向いた。
「久保田君も、お土産どうぞ」
「ありがとうございます」
相変わらずさわやかな笑顔で受け取ってくれる。
「本田さん、ケンさんの写真見せてくださいよ」
「えっそう?見る?」
スマホを取ってきて、今回撮ってきたケンさんの写真を出す。
「これが、今回1番お気に入りの写真!」
ケンさんが、しゅんとしているのが写っている。
「どうしたんですか、これ」
「明日帰るよって言ったらこうなっちゃった」
一昨日の夜の写真だ。
言葉がわかったのか、雰囲気を感じ取ったのか、この後、すり寄ってきて離れなかった。結局、その日は一緒に寝たのだった。
その話をしたら、久保田君はぽかんとし、背後から小田島さんの笑い声が聞こえてきた。
「ほら、誰かさんと同じだろ」
ゲラゲラ笑っている。
「そんなに笑わないでくださいよ」
私だってそう思ってるんだから。
思い出したら、会いたくなっちゃうんだから。
「……ほんと、誰かさんと同じですね」
淋しげな声が聞こえてきて、久保田君を振り返る。
さっきと変わらない笑顔があって、淋しさはどこにもなかった。気のせいだったかな。
「無表情なくせに、本田さんからメッセージが来ると、途端にタイピングの音が変わるんですよ。わかりやす過ぎて、みんなに笑われてましたから」
「え……」
小田島さんはまだ笑っている。
「あと、休憩中に本田と電話するだろ。戻ってくると顔が緩みまくってて、中村に『キモ過ぎる』って言われてたぞ」
はるちゃんてば、恥ずかしいことを……。
顔がほてってしまう。
でも、そんなに思っていてもらえてるのかと思うと嬉しい気持ちもある。
「そんなに顔真っ赤にして、血管切れるぞ」
「切れません。仕事します」
熱い頬を押さえて自分のデスクに戻る。
駄目駄目、ちゃんと仕事しないと。せっかく周りにも認められてて、応援してもらってるのに。
気を引き締めて、パソコンに向かった。