転生悪役幼女は最恐パパの愛娘になりました
穏やかに笑みを浮かべて言ったシャーベリンに、サマラとレヴは口を噤む。しかしその表情は険しいままだ。
シャーベリンは口でこそ謝ったが、頭を下げるどころか椅子から立ち上がってすらいない。
魔法使いや使い魔たちの被った被害を考えたら、あまりにも誠意のない謝罪ではないだろうか。

「……でしたら、その事実を公にし、魔法研究所に対して出来る限りの誠意をお示しください」

リリザの周囲の者と揉めてはいけないと決意してきたサマラだが、どうしても言わずにはいられなかった。
握り込んだ手には、マリンの体に触れたときの感触が残っている。苦しそうに痙攣していた、あの感触が。

(『アンチ・マジック』が魔法研究所への攻撃じゃないってわかれば、それで引くつもりだった。でも、こんなの許せないよ! マリンや使い魔たちをあんなに苦しめておきながら、こんな軽薄な謝罪で済ませるなんて……、魔法使いとして許すことなんかできない!)

サマラの言葉に、シャーベリンは顔から笑みを消した。紫色の瞳に冷たい光が宿る。

「ほお……。つまりあなたは、わたくしが『アンチ・マジック』を失敗したと大衆の前で論い、魔法使いどもにこうべを垂れて許しを乞えと。そうおっしゃりたいのですね」

口調こそ穏やかだが明らかに敵意を見せるシャーベリンに、サマラは唇をグッと噛む。彼にしてみれば些末なことで騒ぎ立て、大神官に恥を掻かせようとしている悪辣な魔法使いにでも映っているのだろう。けれど。

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