転生悪役幼女は最恐パパの愛娘になりました
「失礼しまーす」とはにかんで入ってきたサマラを、ディーは一瞥する。鋭い視線を向けられてサマラは一瞬ビクリとしたが、愛想笑いを崩すことはなかった。
サマラが近づいていくと、長椅子に寝そべっていたディーは体を起こした。そして気だるげに髪をかき上げ、「何の用だ」と問う。
「おとーさま、デザートを食べないまま席を立ってしまったでしょう? だから、一緒に食べようと思って来たんです」
サマラがそう言うと再び部屋の扉が開き、メイドがクロイチゴワインのゼリーと、紅茶を運んできた。それらがテーブルに並べられていくのを、ディーはただ黙ってみている。
「美味しそうですね、おとーさま」
ディーの向かい側のソファーに座って、サマラは小首を傾げた。しかしディーは相変わらず無反応だ。もしかして彼はクロイチゴも嫌いだったのだろうかと、サマラのこめかみに汗が伝う。
「そ、そうだ。もうすぐ秋分ですね。ここに来る前にマブにもクロイチゴのワインをお供えしました」
苦し紛れに出した話題に、ディーの表情がかすかに変わった。サマラに一度視線を向け、それから「そうか」と呟いて目を伏せ、テーブルのスプーンを手に取る。
(……? 少しだけど、機嫌がよくなった?)
ディーのわずかな変化も見逃すまいとしていたサマラは、彼の機嫌が何に反応したのかを0,3秒で考え、心の中でポンと手を打った。
(そっか。私が妖精への敬意を忘れてクロイチゴにがっついてると思ってたのね)
この世界では、魔法使いと妖精は切っても切れない関係だ。魔法は超能力のように己の力で自由に操るものではなく、火水風土の四大精霊の力を借りて発動させる。
サマラが近づいていくと、長椅子に寝そべっていたディーは体を起こした。そして気だるげに髪をかき上げ、「何の用だ」と問う。
「おとーさま、デザートを食べないまま席を立ってしまったでしょう? だから、一緒に食べようと思って来たんです」
サマラがそう言うと再び部屋の扉が開き、メイドがクロイチゴワインのゼリーと、紅茶を運んできた。それらがテーブルに並べられていくのを、ディーはただ黙ってみている。
「美味しそうですね、おとーさま」
ディーの向かい側のソファーに座って、サマラは小首を傾げた。しかしディーは相変わらず無反応だ。もしかして彼はクロイチゴも嫌いだったのだろうかと、サマラのこめかみに汗が伝う。
「そ、そうだ。もうすぐ秋分ですね。ここに来る前にマブにもクロイチゴのワインをお供えしました」
苦し紛れに出した話題に、ディーの表情がかすかに変わった。サマラに一度視線を向け、それから「そうか」と呟いて目を伏せ、テーブルのスプーンを手に取る。
(……? 少しだけど、機嫌がよくなった?)
ディーのわずかな変化も見逃すまいとしていたサマラは、彼の機嫌が何に反応したのかを0,3秒で考え、心の中でポンと手を打った。
(そっか。私が妖精への敬意を忘れてクロイチゴにがっついてると思ってたのね)
この世界では、魔法使いと妖精は切っても切れない関係だ。魔法は超能力のように己の力で自由に操るものではなく、火水風土の四大精霊の力を借りて発動させる。