新人ちゃんとリーダーさん
へ、え、や、だっ!
そんな、細切れの声が聞こえたかと思えば、はくりと口を動かしたあと、彼女は苦々しい表情を浮かべた。
「……だって、嫌い、なんじゃ、」
「は?」
「…………大学、で、その、聞くつもりじゃ、なかったんですけど、」
「……」
「吐き気するくらい嫌いだ、って……手作りとかキメェ、って……言ってたの、聞こえたので、」
「……」
「だから、ない、です。ごめんなさい」
ぽつり、ぼそり。言われたそれらを咀嚼して、脳みそで分解して、そこに含まれた意味を組み立てる。
あ、あの時の。
「っば、ち、ちがっ……!」
「っえ」
「あれは……っくそ、違ぇんだよ」
線と線が繋がった。途端、ぶわりと溢れ出た、冷や汗。
やべぇ。言ってた。嫌いだの見たくもねぇしキメェだの散々言ってた。罵ってた。
「……あれは、結愛以外からのは、って意味で、」
「……」
「結愛からのは、欲しい」
吐いた唾は呑めぬ。どこをどう見ても、自業自得だ。
「……欲しい、です、」
意図せず、語尾が萎む。
嘘偽りなく、今思っていることを伝えたつもりだけど、結愛はちらりと俺を見て、気まずそうにまた目をそらした。