嘘吐きな王子様は苦くて甘い
大型ショッピングモールにある、最近改装したらしい映画館。今日は休日ってこともあってチケット売り場はたくさんの人達で賑わってる。
「ここで待ってろ」
そう言うと、旭君は事前予約専用の発券機まで行きスイスイと操作してあっという間にチケットを手に戻ってきた。
「凄いね」
「別に普通」
でもそれって、今日の思いつきじゃできないことだよね?私と行こうと思って準備してくれてたのかな?
旭君が私の為にって考えただけで、また胸がキュンと音を立てる。
あーダメだ!私もう旭君に振り回されるのは嫌だって思ってるのに!何してもカッコよくしか見えない。
人混みから離れた場所で一人脳内でわちゃわちゃと考え事をしていたら、また旭君がいつのまにかポップコーンとジュースの入ったトレーを持っていて。
「い、いつの間に…」
「ほら行くぞ」
「あ、お金…」
「後でいいから」
私にチケットを渡して、スタスタと歩いていく。私も慌てて後を追いかけた。
ー映画は、ホントに面白かった。私が集めてる少年漫画の実写化で、製作費何十億の超大作。先週公開したばかりで、シアター内も満席っぽかった。
戦闘シーンは凄い迫力で思わず拳を握り締めたし、友情シーンや大切な人と別れなくちゃいけないシーンではハンカチで拭うのも忘れてポロポロと泣いた。
続編を匂わせるようなラストも、いい余韻を残してくれて暫くボーッとエンドクレジットを見つめた。
「はぁ、凄かった」
「結構原作通りだったな」
「主人公もその友達も、イメージぴったりでビックリしちゃった!」
映画に夢中で、ポップコーンが少し残ってしまった。シアターを出たところにあるソファに二人で座って、旭君はそれを摘む。私はまだ興奮が収まらなくて、身振り手振りもつけながら映画を振り返る。
「私が漫画で大好きなあのシーンも凄かったね!めちゃくちゃ劣勢なのに、主人公一人が剣を突き上げてさ!今にも倒れそうな仲間達も、それにつられて皆立ち上がり始めて…もうホント鳥肌立っちゃった!」
「あー、だな」
「ちょっと旭君、聞いてる!?」
「聞いてる」
旭君はそう言いながら、摘んだポップコーンを私の口に入れた。突然のことにビックリしてると、旭君は悪戯が成功した子供みたいな顔をする。
「うまい?」
私の好きな、キャラメル味。飲み物もちゃんと、私の好きなもの。何も言わなくても当たり前みたいに、私の目の前にそれはある。
「お、おいしい…です…」
恥ずかしくてモゴモゴする私を見て、旭君が小さく笑った。
それから、少し遅めのお昼ご飯。お洒落なカフェの、ワンプレートランチ。
「見て旭君!オムライスがバラみたいだよ!可愛い!」
ドレスドオムライスっていう、バラみたいな形の綺麗なそれ。崩すのがもったいないと思ってしまう位だ。
「こっち見てみ」
「え?」
私がオムライスから目の前の旭君に視線を映した瞬間、スマホのシャッター音が聞こえる。
「ちょ、旭君っ」
「いーから、こっち向け」
「は、恥ずかしいよっ」
まさか、旭君が私を撮ってくれるなんて。あぁ、こんなことならさっきお手洗いに言って顔のチェックしとくんだった…っ
その後も暫くの間恥ずかしくて、美味しいはずのオムライスの味もよく分からなかった。
「ここで待ってろ」
そう言うと、旭君は事前予約専用の発券機まで行きスイスイと操作してあっという間にチケットを手に戻ってきた。
「凄いね」
「別に普通」
でもそれって、今日の思いつきじゃできないことだよね?私と行こうと思って準備してくれてたのかな?
旭君が私の為にって考えただけで、また胸がキュンと音を立てる。
あーダメだ!私もう旭君に振り回されるのは嫌だって思ってるのに!何してもカッコよくしか見えない。
人混みから離れた場所で一人脳内でわちゃわちゃと考え事をしていたら、また旭君がいつのまにかポップコーンとジュースの入ったトレーを持っていて。
「い、いつの間に…」
「ほら行くぞ」
「あ、お金…」
「後でいいから」
私にチケットを渡して、スタスタと歩いていく。私も慌てて後を追いかけた。
ー映画は、ホントに面白かった。私が集めてる少年漫画の実写化で、製作費何十億の超大作。先週公開したばかりで、シアター内も満席っぽかった。
戦闘シーンは凄い迫力で思わず拳を握り締めたし、友情シーンや大切な人と別れなくちゃいけないシーンではハンカチで拭うのも忘れてポロポロと泣いた。
続編を匂わせるようなラストも、いい余韻を残してくれて暫くボーッとエンドクレジットを見つめた。
「はぁ、凄かった」
「結構原作通りだったな」
「主人公もその友達も、イメージぴったりでビックリしちゃった!」
映画に夢中で、ポップコーンが少し残ってしまった。シアターを出たところにあるソファに二人で座って、旭君はそれを摘む。私はまだ興奮が収まらなくて、身振り手振りもつけながら映画を振り返る。
「私が漫画で大好きなあのシーンも凄かったね!めちゃくちゃ劣勢なのに、主人公一人が剣を突き上げてさ!今にも倒れそうな仲間達も、それにつられて皆立ち上がり始めて…もうホント鳥肌立っちゃった!」
「あー、だな」
「ちょっと旭君、聞いてる!?」
「聞いてる」
旭君はそう言いながら、摘んだポップコーンを私の口に入れた。突然のことにビックリしてると、旭君は悪戯が成功した子供みたいな顔をする。
「うまい?」
私の好きな、キャラメル味。飲み物もちゃんと、私の好きなもの。何も言わなくても当たり前みたいに、私の目の前にそれはある。
「お、おいしい…です…」
恥ずかしくてモゴモゴする私を見て、旭君が小さく笑った。
それから、少し遅めのお昼ご飯。お洒落なカフェの、ワンプレートランチ。
「見て旭君!オムライスがバラみたいだよ!可愛い!」
ドレスドオムライスっていう、バラみたいな形の綺麗なそれ。崩すのがもったいないと思ってしまう位だ。
「こっち見てみ」
「え?」
私がオムライスから目の前の旭君に視線を映した瞬間、スマホのシャッター音が聞こえる。
「ちょ、旭君っ」
「いーから、こっち向け」
「は、恥ずかしいよっ」
まさか、旭君が私を撮ってくれるなんて。あぁ、こんなことならさっきお手洗いに言って顔のチェックしとくんだった…っ
その後も暫くの間恥ずかしくて、美味しいはずのオムライスの味もよく分からなかった。