居酒屋ーーーキスをあげよう―――

第三章-――香水-――

―――今、彼女は居酒屋にいた。焼き鳥を焼いており、美味しそうな匂いが漂ってくる。此処の店は菜月が、皆、好きで、彼女は嬉しい気持ちだった。
菜月は今、胡瓜と大根の糠漬けを作っており、お客様の所に持って行った。四人組のお客様で、わいわい、賑やかに話し込んでいる。彼女は料理を運んでいくと、其処には、大学の友達の、水野梨乃と百田冴子がいた。更に、ジェニーとマリンも一緒にいた。彼女達は料理が運ばれると、『―――良かった・・・』と叫んだ。どうやら、生きている事に、安心を覚えているようだ。菜月はニコッと笑うと、小林玲子、斎藤望も来ており、紹介してもらった。
『小林様と・・・斎藤様ですね?ご紹介・・・ありがとう、ございます。』と笑いながら、立ち去った。今日は、泉陽介は居らず、菜月と木全と真子の留守番である。あれから、彼女はキスすら、していないけど、彼女はそれでも一緒にいてくれて、嬉しかった。もう一人だ、と言わない事にした。彼女はふわりと、空を見上げると、そこには、オレンジ色の、夕日の空があった。泉陽介は今、友達と何処かへ行ってしまい、此処にはいない。まぁ、友達との約束があるのだろう―――。
陽介は何処か行った帰りに、お土産をくれる。一週間前、バレンタインのチョコをあげた。チョコレートのお返しが欲しい。一週間どころではなく、半月ほど、待っていなければならない―――。
チョコレートはあの変な人にあげなくて、良かったと思った。チョコレートは年に一度、たべるのが、丁度良く、甘い味がする。

―――今日の・・・お土産は何かな?

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