居酒屋ーーーキスをあげよう―――
其の言葉に、彼女は勢いよく立ち上がると、『―――じゃましないで・・・』と言い張った。
彼女は家族を思い出し、死にたくなってしまった。あの日、あの合コンの事を思い出した―――。
その時、ふと、誰かに頭を撫でられた気がし、彼女はハッと振り向いた。そこには、両親と祖父母の姿もあり、『―――そうだよ・・・貴方は、いきなければならない。寂しかったよね・・・ごめんね。だけど、これからは、自分の力で幸せを作らなければならない。だから、居酒屋を営みなさい。それが、私達にとっての、償いというものだよ。』と聞こえて来た。
『う・・・あぁぁぁぁぁぁ・・・』
彼女はあの日のように、思い切り泣き叫び、泉陽介に抱き着いた。彼女は『―――いて・・・良いの?』と問い質した。
彼等は『―――当たり前よ・・・』と叫ぶと、彼女は思い切り泣いていた。彼女は泉陽介の家から、離れてはいけない、そう思っていた。彼女は泉家の人間だ。あの直樹という、父親が残していったんだ。そう思っていた。


―――分かった・・・彼方達の・・・側に


側に・・・いる―――

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