独占欲強めな副社長は、政略結婚で高嶺の花を娶りたい
「腹が立った俺は、社長からこの案件を受け取り専務の娘と密会させた。そして、そちらと浮気するように仕向けた」
これには意表を突かれ、目を丸くする。
「元々は社長の紹介で由莉奈を勧められ、出世に関わると考え話を受けたような男だ。専務の娘と結婚というわかりやすい提示に、簡単に食いついたよ」
「それは隠しておいてくれないのですね」
わかり切っていたけれど、自分はその程度の人間なのだと改めて言われているようで、傷口に塩を塗り込まれている気分だ。
「由莉奈は知った方がいい。僅かでも自分に悪いところがあったからだなんて、間違っても思う必要はない。相手がただ、クズ男だっただけだ」
言い切られた言葉が、涙腺を刺激して再び涙をあふれさせる。
「ん? どうした」
囁くように優しく問いかけられ、体を抱き寄せられる。
「私、世間知らずで」
「ああ。たびたび驚かされる。可愛らしいと思う反面、危なっかしくて守ってやらなければと使命感に駆られる」
抜けない棘は、海斗さんの優しい口調に溶かされていく。
元婚約者の浮気は、それこそ仕組まれていたのだ。本人たちは気づいていないだろう。