独占欲強めな副社長は、政略結婚で高嶺の花を娶りたい

「由莉奈との縁談を申し込んでから、しつこい誘いが異様に増えた。それで社長に問いただしたら、社長が仕向けていたと白状したよ」

 自分の父ながらすごい。感心を通り過ぎて、ますます呆れる。

「それならば身の潔白は証明されたはずだと、逆手に取って社長に詰め寄った。これは由莉奈にも聞いておいてほしいね。俺は誠実な男だと、あの社長も認めたとね」

 父も父なら、海斗さんも海斗さんだ。

 私に念押しも忘れない。そんなこと、私に知らしめたところで……。

 頭がお留守になりかけたところで、現実に引き戻される。

「けれどもう由莉奈は婚約していると」

 今では婚約していたことは、忘れたいくらいだ。

 父は、どれだけ海斗さんと結婚させたくなかったんだろう。

「だから俺は、その人にも俺と同じ調べ方はしたのかと聞くと、『していない。真面目な青年だ』と言うから、同じことをして、何事もなくいい人なら俺も諦めると伝えた」

 そこからは私も知っている。想像通りの言葉が海斗さんの口から語られる。

「出たよね。簡単に。すぐだ」

 あまりの言い草に胸が痛い。これは未練だとかではなく、やはりその程度だったのだと自尊心が傷つけられたせいだ。
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