独占欲強めな副社長は、政略結婚で高嶺の花を娶りたい

 たまたま通りかかった『染谷さん』に助けられたことがあって、その日から私の中で染谷さんは特別で……。けれど彼にとっては、特別でもなんでもないだろうから、忘れているとばかり。

「とんでもない男から由莉奈を救い出した俺に、社長は反対できなくなり、きみがひとり旅に行きたいと言っていると相談を持ちかけられた。その旅行の間に、由莉奈の気持ちを俺に向けられたら縁談を進めてもいいだろうと許しを得た」

 だからあの飛行機に、海斗さんが乗ってきた。

 やっと繋がって息をつく。

 しかし海斗さんはぼやくように言う。

「俺にひとり旅のボディーガードをさせたいくせに、髪色が違うことも、普段が伊達眼鏡だとも、社長は教えてくれなかった」

 髪をひとすじ手に取り、慈しむように唇を寄せる。

「お陰で見惚れて困ったよ」

 髪の毛から熱が伝わってくるみたいに、顔が熱い。
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