独占欲強めな副社長は、政略結婚で高嶺の花を娶りたい
「最初は、いい子だから結婚相手の候補として会ってみたいくらいの気持ちだったし、社長からの思わぬ反発に遭い半分は意地だった」
髪ごと頬を両手で包まれ、言葉とは裏腹に愛おしいものを愛でるような眼差しを向けられ、どうしていればいいのか困る。
「だから旅行に行って、もしかしたら気持ちが冷めるかもしれないと、由莉奈が四泊五日のところを、仕事もあるし二泊三日にした」
海斗さんが勧められるまま、この縁談を受け入れたわけではないのが、この話からよくわかる。
「すぐに後悔したね。一緒に過ごせば過ごすほど惹かれて。ただ、まさか、抱くことになるとは思わずに焦った」
改めて話題にされ、苦笑されると居心地が悪い。
「嫌なら断ってくだされば……」
何度も迫っておいて、つい負け惜しみを言うと海斗さんは小さく笑う。
「いや。嬉しかった。正直、すぐにでも由莉奈を自分のものにしてしまいたかった」
同じ想いだったのだと思うと、嬉しいような恥ずかしいような、なんとも言えない気持ちになる。
「俺は社長に信頼され任された手前、自分から手を出す真似はできないし、なにより、旅先の悪い男ではなく、きちんと素性を明かした後にそれこそ順番を守りたかった」
私が想像していたよりもずっと考えてくれている海斗さんの言葉に、胸が熱くなる。