独占欲強めな副社長は、政略結婚で高嶺の花を娶りたい

「夕食、食べられますか?」

「ああ。ありがとう。いただくよ」

 予定をお互いに話して、用意できる方が夕食を準備している。海斗さんだって忙しいのに、朝食はほぼ必ず海斗さんが準備してくれて。

「私も作ります」って言ったら、「毎晩無理をさせているのは俺だからね」って。あーもーなにも言えなくなるのをわかってて、悪い顔で言うんだから。

「どうした? なんだか、顔がにやけてる。いいことでもあった?」

 顔に出てたかなと、頬を手で押さえながら
、別の話題を口にする。

「前に川瀬で買っていただいた方に、お茶会の和菓子を用意してほしいとご依頼いただいて」

「そう」

「前に少しだけお話しましたよね? 外国の方で、川瀬の和菓子をすごく気に入っていただけたみたいで」

「外国の……」

 顎に手を当て、なにかを考えるように海斗さんは黙ってしまった。

「あの、やっぱりお疲れですか?」

「いや。すまない。つい仕事のことで」

 それから夕食を済ませると、海斗さんは気になる仕事を思い出したからとマンションを出て行った。
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