独占欲強めな副社長は、政略結婚で高嶺の花を娶りたい

「結婚と言えばさ。由莉奈ちゃんは子どもはほしい方？」

「それは、はい。結婚というと、正直まだイメージは出来ませんが、子どもはほしいです。不思議と赤ちゃんを抱っこしている自分は、ありありと想像できますね」

「こらこら。順番は守らないとご両親が悲しむんじゃないか？」

　叱られて肩を竦める。

「ふふ。そうですね。でも、父も母も私には早く結婚してほしいみたいで、順番どうこうより、いい人を見つけてくれば喜ぶと思います」

「さばけたご両親だね」

　きっと今回の婚約からの浮気騒動がなければ、厳格な父は順番にも厳しかったと思う。ただ今回の件があって、思うところがあるようで、『由莉奈にはただ幸せに、いい人を見つけてほしい』と口にするようになった。

　母なんて『赤ちゃんだけでも授かって戻ってきてくれても万々歳よ』と言って憚らない。

　気落ちしている私を元気付けているのかもしれないけれど、箱入りに育てておいて、今さらそんな出会いもあるわけがなくて。