独占欲強めな副社長は、政略結婚で高嶺の花を娶りたい

 快楽に身を委ね溺れていると、今までとは違う感覚に体をこわばらせる。

「大丈夫。気持ちいいことしかしないから」

 汗で湿った体に手を回す。

「怖くないから、息を吐いて」

 緊張から息を止めていたと気づき、言われた通り息を吐く。すると、溺れていた刺激を再び与えられ、身悶える。

「やっ。おかしくなっちゃう」

「いいよ。乱れても」

 体の奥が疼いて腰が振れる。すると再びの違和感があり、体を固くする。

「力を抜いて」

 眉を寄せた切ない表情を視界に捉え、こんな状況なのに胸がキュンと鳴く。

 違和感のある場所が熱くて堪らない。

 少しずつ押し入ってくるのがわかり声を上げる。僅かに痛みを感じるものの、それを凌駕する快楽に流される。

「大丈夫?」

 聞かないでって言ったのに、海斗さんはどこまでも優しい。知らぬ間にあふれていた涙を拭ってくれる。

 そして答えられないまま、送り込まれる刺激に声を上げる。

「ああっ」

 気が遠くなりそうで、必死に縋り付く。

「くっ」

 短い声を聞き、意識が遠のいていく。そこからプッツリと記憶が途切れてしまった。
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