独占欲強めな副社長は、政略結婚で高嶺の花を娶りたい

 本当は声を出して泣いた。

 あの日、石垣島で産婦人科に行った後、ピルは飲まなかった。もしも妊娠していたら受け入れる、そう決意した。

 自分で決めたとはいえ、妊娠していたらどうしようと不安だった数週間。
 不安だったくせに、生理がきたときには海斗さんとの繋がりが無くなってしまったように感じ、涙が込み上げた。

 再会したときは、実際に妊娠していると思われれば、怖気付いて去って行くのではないかと、試す気持ちがなかったわけではない。

 それが、今度は妊娠していない真実を話すのが怖くなった。

「どうして子どもを望まれていたのか、どうして私との結婚に執着されているのかわかりませんが、これで私とはなにもかもが白紙になりますね」

 全てを暴いて幻滅すればいい。そう自分に言い聞かせていた反面、やはり心は海斗さんを求めていたのだと気付く。
 どんな理由であれ、彼の傍にいたかったのだと。

 自分の浅はかな行動を嘲笑し、長かった再会をやっと終えられる気がした。

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