ねえ、私を見て
「どうしたの?」

「私、日奈人君の事、本気で好きになっちゃった。」

ゴロッと横を向いて、日奈人君の腕にしがみついた。

「旦那さんが、不倫してたから?」

私と日奈人君は顔を合わせた。

「違うわ。私、本気で……」

日奈人君は起き上がった。

「俺も、くららさんの事、本気で好きだよ。でも、そんな当てつけだなんて、俺嫌だ。」

私も起き上がった。

「当てつけなんかじゃない!」

「じゃあくららさんは、俺と結婚できる?」

「それは……」

急に結婚の話だなんて。

「ほらね。本気で好きって言っても、そこまでじゃないんだよ。」

日奈人君は足を組んで、うずくまった。

「私、夫とただ別れたくて。」

「それに俺を巻き込まないでくれる?」

私は日奈人君の前で、戸惑うばかりだった。
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