ねえ、私を見て
「どうしたの?日奈人君!」

びしょびしょに濡れて、細かに震えていた。

「待って。タオルを出すから。」

棚から新しいタオルを出して、日奈人君に差し出した。

でも日奈人君の手も震えている。

「もう!傘はどうしたの?」

「……差したけど、無駄だった。」

ああ、あんな雨じゃあ、そうだろうなと思いながら、日奈人君の頭をタオルで拭いた。

「大丈夫?確か卒論で、休みじゃなかったっけ?」

すると日奈人君は、私を抱き寄せた。

「くららさんに、会いたくなって……」

「私に?」

「お昼の時間だったら、社長はいないと思って……」

胸が締め付けられる。

そんな時間を狙ってまで、私に会いに来るだなんて。
< 138 / 147 >

この作品をシェア

pagetop