ねえ、私を見て
結局、夫の車は行ってしまって、私はお弁当箱を持って、オフィスに戻って来た。

「くらら。」

園子は心配していた。

「急に走りだして。どうしたの?」

「ああ、何でもない。」

私は咳に座ると、お弁当を広げた。

今朝、夫の為に作ったお弁当。

でも実際は、あの子と一緒にいて、このお弁当はいらなかったみたい。

ご飯を一口食べると、もう冷めていた。

「美味しくない。」

それはお弁当が冷めていたからなのか、はたまた、夫の気持ちが見えなくなったからなのか。

いづれにしても、食欲が湧かなかった。

「もう食べないんですか?」

隣に座る日奈人君から、声を掛けられた。

「うん。なんだか食欲ないみたい。」

私はあの光景に蓋をするように、お弁当の蓋を閉めた。
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