ねえ、私を見て
不倫は、バレたら敗北を示すモノだと、勝手に思っていた。

でも今は、私が敗者になった気がしている。

もちろん、知ったのは私。

バレたのは、夫。

もう泣き叫びたい気持ちだった。


「うぅー。」

今更子供みたいに、声をあげて泣けない。

「うぅぅ……うっ……」

溢れる涙を抑えるのが、精一杯だった。

その時だ。

「ただいま。」

夫が帰って来た。

「くらら?いる?」

いつものは電気もついていないのに、リビングに電気がついていたら、私が帰って来たと、誰だって思うだろう。

でも今だけは、知ってほしくなかった。

「くらら?」

キッチンに一人立っている私を見て、夫は驚いただろう。

「くらら。何泣いているんだ?」

夫は心配して、私の背中を摩ってくれる。
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