双子の異世界・金色のはなびら
テーブルの前に立つと、グラスにワインが注がれる。

「ドルーアのお酒かぁ。いい香り」

「姫様、一杯だけですよ。弱いんだから」

「わ、わかってるよ!でもさ、皇帝がくるのよ?これ飲めば緊張がほぐれるかも」

「いや、緊張してないでしょう」

「してるよ!」

「そう見えないんですけど」

ゼノはハラハラと落ち着かなかった。長い間エレノアの側近をやって来たが、
エレノアの行動がたまに読めない時があったからだ。


「とにかく、おとなしくしてたほうがいいに決まってます姫様」

「はぁーい」

そんなやりとりをしている内に広間の全ての者にワインが注がれた。




ざわ・・・


何か特別な空気を感じた。エレノアの席から遥かかなたに見える玉座に皇帝らしき人物が現れたのだ。


「皇帝よ」

「皇帝だわ」

とザワザワと周りがどよめく。


「ゼノ、皇帝がいらしたらしいわ」

「らしいですね。とりあえず乾杯まで・・・っておいーーーー!姫様!?マジかよー。なんでそうなるわけ!?」


エレノアはゼノを置いて無意識に玉座の近くへと向かっていた。

胸が勝手に高鳴った。


_一体どんな人?怖いけど気になる!怖いけどドキドキする!

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