好きな人を追って生まれ直したら、まさかの悪役令嬢でした。
「最初、蒼井さんが怖い顔してるから、一瞬ダメかと思って焦ったー」


 怖い顔? してたかな? 多分緊張しすぎて表情が固まってたんだと思う。


「いやだって、佐々木君に告白されるなんて普通思わないでしょ」

「なんで?」

「なんでって……」


 人気者にはそれ相応の相手がいるのが相場だ。私は別に特段美人でも可愛いわけでもなく、普通。人気者かというとそうでもなく、スクールカーストでも中に位置する人間だ。

 だからこそまさか佐々木君が私に告白するなんて夢なんじゃないかって今でも信じられない。


「佐々木君は人気者だし、私達話したこともないじゃん?」

「ははっ、人気者かどうかは別にして、確かに俺達は話したことがないね」


 私はいつも佐々木君を遠目に見てた。人がたむろってるところには必ずと言っていいほど、佐々木君の存在があった。

 私達は高校三年生。もうすぐこの学び舎ともお別れとなる卒業式が近い。私は知ってた。佐々木君の行くであろう大学は私が志望している大学とは別のところだということを。

 だから私はきっとこのまま、佐々木君と話すことも、ましてや告白なんてすることもなく、この恋は静かに終わるのだと思ってた。

 それなのに……神様、ありがとう!

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