その手をぎゅっと掴めたら。
そして勉強漬けの休日が終わり、いよいよテスト週間に突入した。憂鬱な今週を乗り切れば、校外学習が待っている。その後には冬休みが控えていて、クリスマスという恋人同士には重要なイベントもあるんだ。
とにかくテストさえ乗り切ればいいと気合いを入れながら校門をくぐれば、生徒会長とすれ違う。
「おはよう」
「おはようございます」
止まって挨拶をする。
鼻腔をくすぐる甘くてそれでいて不愉快でない香りが漂う。
彼女もまた葉山くんの秘密を共有する人物だ。
「この間はありがとうございました」
やっとお礼が言えた。
生徒会長に案内してもらわなければ、あの日、葉山くんと仲直りすることは叶わなかったはずだ。
「北斗と上手くいってるみたいで良かったわ。私も早く彼氏を見つけないとね」
ぱっちりとした目が一瞬閉じられ、ウインクされる。そんな茶目っ気たっぷりな仕草さえも自然に行えてしまうのが彼女の最大の魅力で、素直に可愛いと認めてしまえる。
彼女は葉山くんに恋愛感情を抱いていたのだろう。それは今も変わらず、だろうか。いつか笑い話として聞ける日がくればいい。
「まぁまずはテストを頑張りましょう。私も年が明けたら受験だし、今は恋とか言ってられないわよね」
「はい、私も頑張ります」
そう言って、再び歩き出そうとして、
「佐野さん」と、呼び止められた。