和菓子が繋ぐラグジュアリー。

 驚いて眺めていると秘書と思われる男性がこちらに来た。
 眼鏡をかけており七三分けで知的なイケメンという感じだ。
年は、30代後半ぐらいだろうか。

「如月の蓮見様ですね?社長専属秘書の上野です。
 用件は、聞いております。どうぞこちらに」

「えっ……別にここでも」

「いえ……如月様の物は、社長室まで
持って来させるようにと社長から言われていますので」

 えぇっ!?そうなの……。
私にとったらここで渡してさっさと引き下がりたい。
 それに社長室まで行くとなると直接会わないといけなくなる。
 恥をかく前に逃げたい……どうしよう。

 しかし秘書の上野さんにさぁと言われ
断ることも出来ずに社長室に向かうことに。
 上野さんがドアをノックして入ろうとすると
怒鳴り声が聞こえてきた。

「いい加減にしろ。俺は、お見合いなんてしないし
結婚する相手は、自分で決める」

「あなたは、そればかりじゃない。
 いい加減に身を固めなさい。お見合い相手は、
素敵な令嬢ばかりなのに……何が不満なのよ?」

どうやらお見合いの件で揉めている最中だった。
 一緒に居るのは、会長夫人かしら?
いや……それよりもこれって入ったら不味いのでは?

修羅場な時に遭遇するなんてツイてない。
 怒鳴られる前に帰りたいよ~!!
思わない修羅場に泣きそうになっていると
上野さんは、平然と口を開いた。

「社長。如月の蓮見様がいらっしゃいました。
 頼んだ茶菓子をお届けに」

「うるさい。今それどころでは……」

華京院様は、凄い剣幕で怒りながらこちらを振り向いてきた。
 しかし私の顔を見ると目を見開いていた。
えっ……?

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