政略結婚の甘い条件~お見合い婚のはずが、御曹司に溺愛を注がれました~
そのひと言は、理仁の話が事実だと知るには十分だった。
「うん。昨日うちに来たよ」
「急な話で驚いたろう」
うなずく菜摘に「悪かったな」と、申し訳なさそうに眉尻を下げて謝る。
「ううん、謝るのは私の方だよ。一緒に住んでるのに全然気づかなかった」
いつも明るい和夫の笑顔の裏で、そんな重大な悩みを抱えていたとは。自宅で倒れてここへ運ばれたときにも、ただの働き過ぎだと思ったくらいだ。心労も重なっていたとは考えもしない。
「菜摘と大地には余計な心配をかけたくなかったんだ。幼い頃に両親を亡くしたふたりを大きな口を叩いて引き取ったくせに、借金を抱えたなんてカッコ悪いだろう?」
「カッコ悪いなんて思わないよ。おじいちゃん、ずっと一生懸命私たちを育ててきてくれたじゃない」
それは亡くなった祖母も同じく。両親を亡くした菜摘たちに不自由や寂しい思いをさせないよう、同等かそれ以上のことをしてきてくれた。農園という仕事に向き合う真面目な姿勢も、ずっと見てきた。