政略結婚の甘い条件~お見合い婚のはずが、御曹司に溺愛を注がれました~
急いで応答をタップして耳にあて、和夫より早く話しだす。嫌な緊張感に包まれた。
理仁も菜摘の隣で心配そうに見つめる。
『菜摘、こんな時間に悪いな』
声に変わりはなさそうだ。
「どこか痛いの? 看護師さんは?」
『あぁいや、違うんだ。そうじゃない』
「それじゃどうしたの?」
こんな時間に病院から電話を掛けてきたことなんてないのに。
『ちょっと眠れなくてな』
「……へ?」
予想とは真逆を言われ、間抜けな声が口から漏れる。
理仁はそんな菜摘の反応に首を傾げた。
『台風の被害とか今後の農園のこととかを考えていたら眠れなくなって。そうしたら菜摘の声が聞きたくなったんだよ』
「なんだ、そうだったんだ……」