政略結婚の甘い条件~お見合い婚のはずが、御曹司に溺愛を注がれました~

これまでがなんだったのかと思うくらい菜摘の知っているものとは全く違い、そのキスに心も体も虜になる。それだけで息があがり、胸を上下させて酸素を取り込もうとしていると、不意にキスが解けた。

チュッと音を立てて離れ、わずか数センチの距離で理仁が熱っぽい目で見つめたそのとき。
ルームウエアのポケットに入れっぱなしにしていた菜摘のスマートフォンが、場にそぐわない軽快な音を立てた。高ぶり張りつめていた気持ちが、ふっと途切れる。

こんなタイミングでいったい誰だろう。

無視を決め込もうと思ったが、一向に鳴り止まない。


「出ていいよ」


心なしか困ったような顔で理仁に言われ、体を起こしてスマートフォンを取り出した。


「……おじいちゃん?」


画面に表示された文字を見てヒヤッとせずにはいられない。消灯時間はとっくに過ぎている。


「もしもし、どうかしたの!? なにかあった!?」
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