政略結婚の甘い条件~お見合い婚のはずが、御曹司に溺愛を注がれました~

「やだなぁ、ニヤニヤしちゃって」
「ニ、ニヤニヤなんて!」


郁子に突っ込まれ慌てる。


「してるよ。顔中の筋肉がダラーンと伸びきってる」
「伸びてません」


必死に表情を引きしめるが、唇の端が引きつった。


「いいねぇ、幸せオーラ満開だ。眩しいったらありゃしない」
「やめてってば」


からかわれると、どんな表情をしたらいいのかわからなくなる。

菜摘たちがそうして盛り上がっていると、ふとテーブル脇に人影を感じた。つられて顔を上げたら、そこにはミレーヌのチーフパティシエ。この前理仁に紹介されたエリカが立っていた。


「いらっしゃいませ」


凛とした空気をまとい、菜摘に笑いかける。純白のコスチュームが目にも眩しい。
< 240 / 307 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop