政略結婚の甘い条件~お見合い婚のはずが、御曹司に溺愛を注がれました~
菜摘は胸を高鳴らせてそれを聞いているのが精いっぱい。
理仁はそんな菜摘の手を取り、熱っぽい眼差しで見つめた。
「プロポーズしたのは同情でも、ファインベリーが目当てでもない。心から菜摘がほしかったんだ」
理仁が借金の話をしに佐々良家にやってきたときに『菜摘さんを手に入れたいから』と言っていたのは、本心から出た言葉だったのだ。嘘偽りのない本音だった。
「……ありがとうございます、理仁さん」
うれしくてほかに言葉が見つからない。目の奥が熱くて、胸がものすごく騒がしい。
握られていた手を引っ張られ、理仁に抱き寄せられる。
「あっ、ダメです! 私、汗かいてるから!」
ハウスの中で作業をしていたため、当然ながら汗だく。そんな状態で理仁にくっつきたくはない。
「菜摘の汗なら大歓迎。甘くていい匂いだし」
「やっ、本当にダメなんです!」
甘くていい匂いなんてはずはない。なんとか阻止し、理仁に距離を取る。
菜摘を見る理仁の目は相当不満そうだ。
「とにかくシャワー浴びてきますから」
菜摘は身を翻して家の中に逃げ込んだ。