政略結婚の甘い条件~お見合い婚のはずが、御曹司に溺愛を注がれました~
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あれでもないこれでもないと、菜摘がクローゼットの中であれこれと引っ張り出していると、待ちきれなかったのか、理仁が顔を覗かせた。
「ちょっと待ってくださいね。今決めますから」
なにしろミレーヌの会長夫婦、彼の育ての両親と会うのだから、そう簡単には決められない。
「菜摘、ちょっといい?」
振り返って見た彼は、白い布のようなものを手にしていた。
「これ、見覚えないか?」
そう言って理仁がそれを両手で広げる。
「……あっ」
真っ白なハンカチ。その四隅にイチゴのワンポイントが刺繍されている。
菜摘が母親に縫ってもらったものだったのだ。