政略結婚の甘い条件~お見合い婚のはずが、御曹司に溺愛を注がれました~

「四季成りはこちらです」


声が震えて情けない。菜摘は実証ハウスへ足を向けて歩きだした。

通常のハウスの半分程度の大きさの実証ハウスでは、品種改良に成功したファインベリーを栽培中だが、登録が済んでいないため出荷はできない。


「品種改良はどのように?」


理仁は秘書から手帳と万年筆を受け取り、品種改良の工程をひと通り説明する菜摘に真剣な表情で聞き入った。


「受粉作業は、人の手じゃなく虫にやらせた方が綺麗な実が成るそうだね」


記録している手を止め、理仁が菜摘に質問を投げかける。


「そのような意見もあるようですけど、虫が受粉している野生のイチゴもいびつなものが多いですし、人の手でも綺麗なイチゴはできます。大切なのは、花粉を雌しべ全部に付けることなんです」
「それだけ?」
「はい、それだけです。虫がやろうがサルやゴリラがやろうが、これは変わりません」
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