政略結婚の甘い条件~お見合い婚のはずが、御曹司に溺愛を注がれました~

イチゴのことになると熱が入って周りが見えなくなるのは菜摘の悪い癖だ。それも、素人が聞いても面白みのない話だからたちが悪い。


「いや、非常に興味深いよ」


社交辞令だとは思うが、実際に理仁は熱心にメモを取っていた。


「あれ? おかしいな」


不意に理仁が声を漏らす。


「どうかしましたか?」
「いや、インクが出なくなってね」


どうやら万年筆が突然書けなくなったらしい。
手帳を覗くと、ペン先は跡をつけるだけ。理仁が少し離れた位置に立つ秘書に「ほかにペンはある?」と振り返ったため、菜摘はエプロンのポケットに入れていたボールペンを取り出した。


「よろしかったら、これをどうぞ」


菜摘愛用のものだ。
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