政略結婚の甘い条件~お見合い婚のはずが、御曹司に溺愛を注がれました~

和夫を見送り、菜摘もなにか飲もうと足を一歩踏み出したときだった。周りから「わぁ」という感嘆のため息交じりの声があがり、そちらに目を向けると同時に名前を呼ばれる。


「菜摘さん」


理仁だった。
まさか声を掛けられるとは思わず、彼が菜摘の前で足を止めるまで呆気にとられる。


「こ、こんにちは。本日はお招きにあずかり光栄です」


慌てて手を前で揃えて頭を下げ、なんとか挨拶の言葉を続けた。

ブルーグレーの三つ揃いのスーツは光沢があり、前回会ったときよりもエレガントさを感じさせる。華やかなオーラと自信に満ち溢れた顔を直視できず、目線を胸もとあたりに下げた。周りから注目を浴びて居心地が悪い。


「この前は貴重な話を聞かせてくれてありがとう」


チラッと見た笑顔までパーティー仕様か、ライトの効果も手伝って眩しくて仕方がない。


「いえ……」
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