政略結婚の甘い条件~お見合い婚のはずが、御曹司に溺愛を注がれました~
大切な卸し先だ。そのくらいはなんでもない。
「久しぶりに会えてうれしいよ」
「ありがとう、ございます……」
大勢の前で取ってつけたようなセリフはやめてほしい。言われ慣れていないから、あからさまに頬が熱くなる。
「おじい様は?」
「祖父でしたら、お料理を取りにあちらに」
菜摘の周りに視線を泳がせる理仁に言いながら、背後を振り返って和夫の背中を手で指す。
「お話があるのでしたら、呼んでまいりましょうか」
「いや、用事があるのはキミの方だから」
「……はい?」
不可解な発言に首を傾げる。
「渡したいものがあるんだ」
理仁は胸ポケットから細長い袋を取り出した。それを菜摘に向けて差し出す。