政略結婚の甘い条件~お見合い婚のはずが、御曹司に溺愛を注がれました~
「なんですか?」
「開けてみて」
「ですが」
「いいから」
みんなの視線が突き刺さる中、戸惑いつつ封を開ける。
(……ペン?)
そっと覗くと細く長いペンのようなものが見えた。
「農園にお邪魔したときにキミの大切なペンを持って帰ってしまっただろう? そのお返し」
「それでしたら、お気になさらないでください」
たかだか数百円のボールペンだ。
あのとき菜摘は貸したのを忘れたまま、理仁の方は借りたのを忘れたままになっていた。それに気づいたのは、夕方になって菜摘がメモを取ろうとしたときだった。
「本当はもっと早く渡したかったんだけど、なかなか農園の方に行けなくてね。せっかく返すなら、キミの喜ぶものをと思って」
農園にまで足を運ぶなんて、忙しい彼には難しくて当然だ。