政略結婚の甘い条件~お見合い婚のはずが、御曹司に溺愛を注がれました~
(どれだけの女の人を虜にしてきたんだろう。きっと十本の指じゃ足りないはず。ううん、それどころか両足の指を入れても全然だ。星の数? きっと砂の数だろうな。これ以上近づかない方がいいよね)
そんなことを考えて、自分は絶対にその一員にならないようにしようと固く誓った。
ところがそんな想いとは裏腹に、それから間もなくして菜摘はパーティーが行われていたホテルの一室に理仁とふたりでいた。それもスイートルーム。必要以上に広い部屋には、アンティーク調のおしゃれな調度品が並ぶ。普通に生活していたら一生縁のない場所だ。
「もう大丈夫ですから」
「そうはいくか。もう少し休んだ方がいい」
ベッドで体を起こした菜摘を理仁が無理やり寝かせる。
じつはあの後、菜摘は会場で気分が悪くなり倒れてしまったのだ。それも、たまたま理仁が近くを通りがかったときというタイミングで。
慣れない着物のうえ、きつく巻いた帯も倒れた一因だろう。その帯を解き、しばらく横になったおかげでだいぶいい。
「日高さんは会場へ戻ってください」
「俺の出番はもう終わり」