政略結婚の甘い条件~お見合い婚のはずが、御曹司に溺愛を注がれました~

社長就任の挨拶のことを言っているのだろう。
それでも彼にはまだ、招待客の相手という重要な仕事が残っているはずだ。菜摘に付き添っている場合ではない。


「でも、みなさんがお待ちです」
「キミは余計な心配をしなくていい」


あくまでも寝ていた方がいいと言う。


「祖父も心配していると思うので、私も戻らないと」
「おじい様になら俺から連絡を入れてある。あとできちんと自宅まで送り届けるとね。それから着替えも準備したから」
「えっ?」


彼の視線を辿っていくと、細かい幾何学模様のワンピースが掛けられていた。パフスリーブのかわいらしいデザインだ。


「帯をもう一度締めなおすより洋服の方がゆったりとしていいだろう」
「いえ、ですが」


体を起こしたが、再び彼に寝かされた。


「とにかく今は休んで。まだ顔色が良くない」
「では、お支払いさせてください」
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