政略結婚の甘い条件~お見合い婚のはずが、御曹司に溺愛を注がれました~
「えっ、これは……?」
「さっき届けられたばかり」
口をあんぐりと開けた菜摘に理仁がサラッと言う。
そこにはテーブルいっぱいの料理が並べられていた。ビシソワーズやトリュフと生ハムのパイ包み、オマール海老とキノコのグリエに牛フィレ肉のソテーなどコース料理を一度に運んでもらったようなメニューだ。
「俺、腹ペコなんだ。付き合ってもらえるとありがたい」
理仁はお腹を押さえる仕草をして、満面の笑みで菜摘に椅子を引いた。そこへ座れと言う。
豪華な料理を前にして忘れていた空腹を思い出す。パーティーでなにも食べていないから余計だ。
介抱してもらったうえ、着替えまで用意してくれた相手を邪険にはできない。菜摘は素直に従い腰を下ろした。
「冷めないうちに食べよう」
菜摘は体調不良だったし、理仁も空きっ腹にアルコールは控えようと、ふたり揃ってスパークリングウォーターで喉を潤してから料理を口に運んだ。